【AFP=時事】国連(UN)は16日、世界全体で後天性免疫不全症候群(AIDS、エイ ズ)に関連して死亡した人の数と、エイズの原因となるヒト免疫不全ウイルス(HIV)の新規感染者数が、ここ10年で3分の1余り減少したことから、 2030年までにエイズを撲滅できる可能性が出てきたと発表した。
一方で国連合同エイズ計画(UNAIDS)のミシェル・シディベ(Michel Sidibe)事務局長は、世界に約3500万人いるHIV感染者のうち半数以上が感染に気付かないまま生活しているとみられるため、エイズとの闘いは終わりには程遠いと指摘している。
オーストラリアで今月20~25日に開催される第20回国際エイズ会議(International AIDS Conference)に先立って発表された国連の報告書によると、2013年にエイズに関連して死亡した人の数は、前年の170万人から150万人に減 少。2004~05年に年間240万人と死者数がピークに達して以降、前年比で最大の減少幅となった。
また、昨年のHIV新規感染者は210万人で、2001年の340万人から38%減った。
感染者と死者は依然としてアフリカ諸国に集中しており、2013年の死者は約110万人、新規感染者は約150万人だった。HIV感染者は計2470万人とされている。
報告書はこのほか、ブラジルと中国、インド、インドネシア、ロシア、米国での状況にも焦点を当てており、米国ではアフリカ系女性とヒスパニック系の人々、若い同性愛男性に感染が集中していることが指摘されている。
世界保健機関(World Health Organization、WHO)は、新規感染者の約半数を占める同性愛男性やトランスジェンダーの人たち、刑務所の収監者や注射で薬物を使用する人、 性産業の従事者への対応を強化すべきだと訴えている。こうした人たちのHIV/エイズ対策に当たっては、差別への取り組みが重要な要素と指摘されている。
【翻訳編集】AFPBB News
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