青果の細菌、水洗いで流れるか?

オーガニック(有機栽培)果物や野菜を生で食べるケースが増えている。それに伴い多くの消費者 が、青果の洗い方が正しいのかどうか不安を持つようになった。ジョージア大学の食品病原菌学教授で同大の食品安全センター(Center for Food Safety)ディレクター、マイケル・ドイル氏から、新鮮な食品の洗い方について意見を聞いた。

 

敵が潜む場所

 

 ドイル氏は、収穫した果物や野菜には主に2つの懸念があると話す。このうち農薬についてはあまり気にしていないが、微生物について心配しているという。

微生物の中では、サルモネラ、リステリア、一部の大腸菌が特に深刻な脅威だ。これらの微生物で具合が悪くなるのは、肉を食べた人より果物や野菜の食べた人のほうが多い。細菌は、汚染された下水を通して広がることもあり、青果、特に葉物野菜の表面に付着する恐れがある。

 ドイル氏は「青果は水道水で洗うと、リステリアその他細菌が潜んでいることの多い表面の土や残留農薬が減るはずだ」と話す。だが、カットされている葉物野菜の奥深くに有害なバクテリアがあったら、「家でさらに洗っても役に立たない」という。

 

袋の中

 

  ドイル氏によれば、袋入りのレタスは2度洗い済みだとうたわれていても、加工施設の水に入った細菌が洗う対象の青果に付着することもあり得る。また、レタ スやほうれん草はいったん切ってしまうと、表面の細菌が葉の間に封じ込められる可能性がある。「そうなったら、何をしても洗い流すことはできない」とい う。「そうしたことから、袋入りのサラダやカット野菜(グリーン)は最近、食品由来の病気が拡大する最大級の要因になっている」

 

  同氏は、レタスはカットされた袋入り商品でなく、丸ごと買うよう勧めている。「外側の葉をはがし、手を洗い、それから残りの葉を水で洗う」ことだという。 バジル、ローズマリー、パセリといったハーブも洗うべきだ。青果は他の細菌源である生の鶏肉などとは離して保存すること。

 

さらに用心

 

  果物や野菜を漂白剤、酢、レモン汁などを入れた自家製の溶液に浸すのは構わないが、有害な細菌や微生物を全て殺せる公算は小さい。市販の洗浄剤のほうが多 くの細菌や微生物を消滅させられることがわかっているが、切っていない青果の大半は流水で20秒も洗えば十分なはずだ。これを「長くしても大差ない」とド イル氏は言う。水温を上げるのもやはり無駄で、細菌を破壊するほど熱い湯を使えばレタスはしなびてしまう。

 

 むくのもいい。「長期で海外を訪れる際には、外側の葉を取り除くことが病気を避ける戦略の1つだ」

 

リスクが高いのは

 

  食品中の少量の細菌は大半の人には影響しない。だが、高齢者、子ども、妊婦はリスクが高いため、青果を食べる前に丹念に洗うべきだ。ドイル氏は、アルファ ルファやもやしを生で食べないようみなに勧めている。「栽培と洗浄の方法から、害がないと確信できない」ためだ。ドイル氏は「もやしは好きだし食べる。だ が、熱々のフォー(ベトナム料理)に入れてからにしている」という。

 

 新鮮な果物や 野菜を食べることは栄養面でメリットが大きいが、微生物が付いていないことを確かめることも基本だ。ドイル氏は「いつも流水で洗う」という。では、着てい るシャツでリンゴを拭くという昔ながらの方法はどうか。同氏によれば、「ペーパータオルでリンゴをこすると摩擦で細菌が取り除かれることを示す研究が(複 数)ある」という。「そのため、シャツで一所懸命にこすれば、同じ効果がありそうだ」

 

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