インフルエンザや花粉症を悪化させる「ドライノーズ」対策法

ドライアイは広く知られているが、ドライノーズは聞いたことがないという人が多いだろう。鼻が乾くドライノーズは、ドライアイと同じく、放っておくととんでもない症状を引き起こしかねない。

「ドライノーズは、昔は老人性鼻炎といわれていました。加齢により鼻の中が乾燥する。高齢者に見られる症状だと考えられていたのです」

 こう話す順天堂医院耳鼻咽喉科・三輪正人准教授は、世界で初めて鼻の水分蒸散量を調べた。外来に通う患者に、「鼻水は出ているが、鼻が乾いた感じがす る」という人が少なくないことに着目した。比較的身近な「肌の乾燥」は、肌の水分量とともに、水分の蒸散量で決まる。サメ肌のように、肌がカサカサしてい ると、肌の水分がそこから蒸発していき、乾燥を感じる。鼻の中も同じではないかと考えたのだ。

「鼻粘膜の水分蒸散量を調べてみたところ、鼻の中が乾燥している人は珍しくないどころか、多数派であると分かったのです。ほぼ一年中エアコンが効いた屋内で暮らす現代人の生活環境では、仕方ないことなのですが……」

 三輪准教授は、別の実験で、花粉症などアレルギー性鼻炎と鼻の水分蒸散量との関係を調べた。ろ紙に抗原(花粉)を付着して鼻の粘膜に触れさせ、アレルギー性鼻炎を誘発させる。すると、同時に水分蒸散量も増える結果が出た。

「つまり、花粉症などアレルギー性鼻炎がある人は、水分蒸散量が増えてドライノーズになりやすい。一方で、ドライノーズの人は抗原が粘膜にくっつきやすく、花粉症などアレルギー性鼻炎を起こしやすい。負のスパイラルが出来上がっているのです」

■鼻くそがよくできる人は要注意

 空気が乾燥していると、風邪をひきやすくなるとよくいわれる。乾燥した喉にウイルスが付着しやすくなるからだ。ドライノーズも、風邪やインフルエンザなどの感染症のリスクを上げる。

 余談になるが、飛行機の中の相対湿度は10%以下と低い。同様に、病院の湿度も飛行機並みに低く、感染症をはじめとする病気のリスクを上げるのでは……と指摘されたことがかつてあった。

「それほどに、乾燥はよくない。ドライノーズはあらゆる障害を引き起こすと考えた方がいい」

 これからの季節は、空気が乾燥していく。ドライノーズをいかに避けるかが、インフルエンザ、花粉症の対策につながる。

 ドライノーズを特に意識した方がいいのは、(1)エアコンが効いた屋内で「1日5時間以上×週3日以上」過ごす(2)鼻くそがよくできる(3)鼻血がよく出る(4)花粉症やアレルギー性鼻炎がひどい――のどれかに該当する人だ。

 ドライノーズの対策は簡単で、今日からできる。生理食塩水を鼻の中に点鼻する。専用の器具や液は薬局で購入できるので、それを利用するといい。生理食塩水の点鼻と、鼻うがいは全くの別物なので間違えないように。

 現実的には難しいかもしれないが、エアコンの効いた場所ではマスクをつけるのも、非常に効果がある。

「花粉やPM2.5など空気中に浮遊しているさまざまな抗原や温度、湿度、大気圧など環境変化にびくともしない鼻を、私はタフな鼻ということで『タフノーズ』と呼んでいるのですが、皆さんもぜひタフノーズを目指してほしい」

日刊ゲンダイ 10月1日(水)10時26分配信

 

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