地球温暖化によって、今世紀末の日本では平均気温が20世紀末に比べ最大で6.4度上昇し、年間の洪水被害額は20世紀末の約3倍にあたる最大約 6800億円に上るとの報告書を、環境省の研究班(代表=三村信男・茨城大教授)が17日、公表した。熱中症などによる死者数の倍増など健康への影響も深 刻で、被害を軽減するための対策に早急に乗り出すよう国や自治体に求めている。
温暖化の影響で、世界的に高潮や大雨の増加などが予測されているが、その度合いは地域によって異なり対策も変わる。研究班は、国連の「気候変動に 関する政府間パネル(IPCC)」第1作業部会が昨年9月に公表した最新の報告書と同じ考え方に基づき、気温上昇など今世紀末の日本の姿を初めて予測。災 害、食料など5分野の影響について、20世紀末と比較した。
温室効果ガスが増え続けた場合、平均気温が3.5〜6.4度、海面は60〜63センチ上昇すると予測。海面上昇による浸食で、砂浜は最悪の場合、83〜85%消失。干潟も12%が失われ、日本の風景が激変する可能性もあることが分かった。
洪水による被害額は、豪雨の増加などで、年間2416億〜4809億円増えると見込まれる。地域別では、東北、中部、近畿、四国で、20世紀末の2倍を超える可能性が高い。一方、治水対策を強化すれば被害額を20世紀末と同程度以下に抑えられると指摘している。
熱中症や高温で持病が悪化して死ぬ人の数は、今世紀末には2倍以上になると予測。熱帯の感染症「デング熱」を媒介する蚊の一種、ヒトスジシマカは現在、国土面積の約40%に分布しているが、気温上昇に伴って約75〜96%に拡大。感染のリスクが高まると予測している。
農業分野では、気温上昇の影響を受けやすいウンシュウミカンは、最悪の場合、生産に適した地域がなくなる恐れがある。一方、亜熱帯の果樹、タンカ ンの適地は、現在国土の1%程度だが、13〜34%に拡大する。コメの収量は全国的には大きく変化しないが、品質が低下する割合が大きくなる。【大場あ い】
環境省の研究班が17日公表した、地球温暖化による国内影響の最新報告は、農作物の栽培適地の変化や洪水による被害の増加など、今世紀末までに環境や国民生活が一変する恐れを指摘した。一方で、対策強化によって被害を軽減できる可能性も示した。
農業分野では、夏の高温による影響が既に深刻化し、コメは粒が白く濁るなどの品質低下への懸念が高まっている。
報告書によると、対策を取らなくても今世紀末のコメの収量はそれほど変化しないが、生産量の半分近くの品質が低下するリスクが非常に高いという。 一方、品質低下を防ぐため、田植えの時期をずらして夏の高温の影響を避ける対策だけでは、収量が増える地域と減る地域の差が大きくなると予測した。
豪雨などの増加に伴う洪水被害については、対策を全国一律に強化するためには長い時間と莫大(ばくだい)な費用がかかるため、「危険度の高い地域を抽出し、便益に見合ったコストで、その地域に適した対策を選ぶことが重要だ」と指摘している。
報告書は、社会基盤の充実した日本でも温暖化の被害から逃れられないという予測を突きつけた。政府は来夏、被害を軽減するための初めての総合計画「適応計画」を閣議決定する方針だが、温室効果ガス排出量削減とともに、実施が急がれる。【大場あい】
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