ノロウイルスは、以前、サポウイルス、アストロウイルスを含めて小型球形ウイルスと呼ばれていました。
乳幼児では、初冬(11~12月)を中心に急に発生します。成人では、二枚貝などを生か加熱不足で食べた場合にみられま す。症状には個人差があります。学校・施設や旅行先などで集団食中毒として発生することがあり、二次感染として発生することもあります。最近、調理従事者 からの食品の汚染、施設内でのヒト‐ヒト感染が多くなりました。
突然、嘔吐・下痢が起こります。食中毒の場合は、食後12~48時間に症状が現れます。軽症の場合は、気持ちが悪い程度 で終わります。発熱、呼吸器症状を伴うことがあります。通常、数日で軽快します。重症になると脱水症状が現れます。まれにけいれん、腸重積(腸管の一部が 腸管腔内へ入り込む)などが起こります。
乳幼児で冬期(1~4月)の下痢症の場合には、ロタウイルスによる下痢症を考えますが、初冬ではノロウイルス感染症が多くみられます。学童・成人では、細菌およびウイルス性の食中毒も考えます。
現在、ノロウイルスに関しては酵素抗体法あるいはイムノクロマト法が開発され、一般外来で迅速診断が可能となりました。ノロウイルスなどの集団発生では、遺伝子増幅法での診断が行われます。サポウイルス、アストロウイルスでも遺伝子増幅法が用いられます。
治療法は、下痢症一般あるいはロタウイルス下痢症に準じます。すなわち、嘔吐に対しては鎮吐薬を使用します。経口摂食が可能であれば、少量で回数を多くした食事を原則とします。経口補液を行うこともあります。経口で摂食が不可能な場合、あるいはその危険性がある場合は経静脈輸液を行います。
止痢薬は原則として使いませんが、ラックBやビオフェルミンなどの生菌製剤は用います。なお、ワクチンは開発途上にあります。
症状を示す場合は、トイレ等での石鹸、流水を使った手洗いが必要です。
原因となる食材、あるいは周囲に同じ症状を示す人がいるかどうかを確かめます。いる場合は、医師などを通して保健所に報告します。
下痢が数回みられたり、あるいはけいれんなどほかの症状がみられたら受診します。小児科専門医のいる医療機関を受診することが望まれます。
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