宮崎大学農学部(宮崎市)の研究チームが、2010年に宮崎県で大流行した口蹄疫(こうていえき)で宮崎県が記録した被害データを基に、口蹄疫の感染拡大やワクチン接種による抑制効果をコンピューターでシミュレーションする数理モデル開発に国内で初めて成功した。牛や豚約30万頭を殺処分した口蹄疫禍から20日で丸5年。畜産県・宮崎では被害から得た知見を防疫に生かす取り組みが続いている。
数理モデルは関口敏准教授(獣医疫学)らの研究チームが約2年かけて開発した。農場数▽位置▽家畜の種類、頭数▽ウイルスの種類−−などをコン ピューターに入力すれば、発生時の感染の広がりを自動シミュレーションできる。設置された消毒ポイントやワクチン接種状況などの情報も入力でき、どのよう な防疫対策が最も効果的か、具体的に予測することが可能だ。
関口准教授によると、英国で01年に口蹄疫が大流行したのを契機に、海外で数理モデル開発が盛んになった。国内では他に北海道大なども取り組んでいるが、開発に成功したのは初めて。
実際のデータで膨大な計算を繰り返すことが必要なモデル開発に役立ったのが、宮崎県が蓄積した10年の被害データだった。宮崎大は12年に県と防疫対策に関する協定を結び、口蹄疫発生の日時や場所、ワクチン接種状況、終息過程などの詳細な情報を入手できた。関口さんは「県の情報は世界に類のないほど正確だった。このデータのおかげで精度の高いモデルが開発できた」と話す。
今後の課題は、専門家しか扱えない複雑な計算操作を防疫当局でも操作できるようシステム化し、実際の防疫施策に活用すること。宮崎大は今年2月か ら、英国や米国など6カ国の6大学・研究機関との共同研究プロジェクトに参加している。3〜5年かけて世界標準モデルを開発し、韓国や中国など口蹄疫が現在発生している国で効果を検証し、実用化を目指す方針だ。
韓国では昨年7月以降、183件の口蹄疫発生が確認されており、現在も厳戒態勢を続ける宮崎県もシミュレーションに注目している。県家畜防疫対策課は「万が一の発生に備え、数理モデルは有効な道具になる」と期待をかける。
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