「蚊媒介感染症」とは、病原体を保有する蚊に刺されることによって起こる感染症をさす。代表的な蚊媒介感染症には、ウイルス疾患であるデング熱、チクングニア熱、日本脳炎、ウエストナイル熱、原虫疾患であるマラリアなどがある。
日本では日本脳炎が国内流行したことがあるが、それ以外の蚊媒介感染症は輸入感染症として海外から持ち込まれていた。しかし、2014年の夏に東京都内代々木公園及びその周辺で、70年ぶりにデング熱の国内流行が報告され、約160例のデング熱患者の発生が確認された。
デング熱などが疑われるとき、患者はまずかかりつけ医や近隣の診療所といった一次医療機関を受診することになる。
一次医療機関が専門医療機関に、デング熱などが疑われる患者の診断・治療や入院の要否、必要に応じた患者の受け入れなどについて相談する体制が必要とされている。
そこで、同学会は、この一次医療機関などからの症例に関する病原体検査の必要性や、外来受診および入院適応に関する相談への対応を行う蚊媒介感染症専門医療機関国内ネットワークを立ち上げ、「蚊媒介感染症専門医療機関」を公表した。
国内発生の可能性のある感染症はデング熱、チクングニア熱だ。リストではこの2つの感染症の診療にあたる専門医療機関を公開している。
リストで公開されているのは、東京大学医科学研究所附属病院など、44都道府県の154ヵ所の病院。「指導助言のみ」「軽症者のみ対応」「重症のみ受け入れ」「対象は高齢者のみ」といった特記事項も記載している。
ヒトスジシマカ(ヤブ蚊)は、デング熱やチクングニア熱の媒介蚊でもあり、今後は、一次医療機関において、この2つの感染症が疑われる患者を診察する機会が増加することが予想される。
なお、マラリアには抗マラリア薬による治療が有効だが、デング熱、チクングニア熱に対しては解熱薬の投与や輸液などの対症療法が中心になる。
そのため、同学会は一般市民に対し、デング熱、チクングニア熱を媒介するヤブ蚊(ヒトスジシマカ)に刺されないための予防対策を心がけるよう呼びかけている。
蚊媒介感染症専門医療機関一覧(日本感染症学会)
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