<浸水被災地>衛生悪化、感染症の恐れ…破傷風など6種類

 大規模な浸水被害が出た茨城県常総市などで、衛生状態の悪化に伴う感染症流行のリスクが高まっている。大型連休中にはボランティアが被災地を訪れる機会 が多く、国立感染症研究所は「注意すべき感染症」として、レジオネラ症や破傷風など6種類を示し、マスク着用や傷口の消毒などの予防策の徹底を呼びかけて いる。


 東日本大震災でも被災地の感染症対策にあたった日本環境感染学会理事長の賀来(かく)満夫・東北大教授(感染症学)は「大震災では1週間を過ぎたころから感染症が増えてきた」と指摘。避難所では体力が低下して感染症にかかりやすくなるという。

 感染研によると、泥に含まれるレジオネラ菌を粉じんと一緒に吸い込んだり、傷口から破傷風菌が入ったりする恐れがある。過密状態の避難所では急性呼吸器感染症などに警戒が必要だ。

 中でもレプトスピラ症は潜伏期間が最大2週間で、頭痛や発熱の症状があり、死に至る場合もある。賀来教授は「風邪のような初期症状なので見過ごされがち だ」と注意を呼びかけている。茨城県常総市は感染症予防のため、2万本の消毒液を準備し、すでに約5000本を配った。同市保健センターなどで配布してい る。【千葉紀和、土江洋範】

 ◇注意すべき感染症◇

・急性呼吸器感染症(さまざまなウイルスで呼吸器に疾患)

・急性胃腸炎・急性下痢(腹痛や嘔吐=おうと、発熱、下痢など)

・レジオネラ症(肺炎や発熱など)

・レプトスピラ症(発熱、悪寒、頭痛など)

・破傷風(全身がけいれんし呼吸困難に)

・はしか(高熱や発疹など)


毎日新聞


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