ノロウイルスはカキからやってくる

食中毒を起こすノロウイルスは、人と人との間で感染するほか、カキ(牡蠣)からの感染が多いことでも知られています。遺伝子データの研究から、ノロウイルスの流行にカキが深く関わっていることを示すとされる結果が報告されました。


◆ウイルスの遺伝子データを収集

研究班は、カキ関連のノロウイルスを遺伝子解析したデータを集め、系統解析の手法を使って分類しました。

ノロウイルスは遺伝子の特徴によって数十以上のタイプに分かれることが知られています。この研究では、ノロウイルスが検出された時間や場所によって、どのタイプが見られるかを調べました。

 

◆人間のウイルスとカキのウイルスが一致

カキから見つかった、またはカキによる流行と見られたノロウイルスのサンプルを解析した結果、カキ由来と見られるサンプルに、人間に感染するノロウイルスのうち80%を超える種類のものが見つかりました。また、カキから見つかるウイルスの種類と、人間で流行したウイルスの種類が時間的に一致する傾向が見られました。

この結果について、研究班は次のように考察しています。

このことはカキが環境感染によってノロウイルスのベクターとして働くだけでなく、ヒト型ノロウイルスの重要な温床ともなることを示唆する。

つまり、カキはノロウイルスの感染を一時的に媒介するだけでなく、継続的にカキの間でウイルスが保たれていることによって、そこから人間での流行が繰り返し起こるという密接な関係があるという説です。

 

ノロウイルスに特効薬はなく、食品を十分に加熱する、食器類を消毒するなどの予防法が勧められています。詳しくは厚生労働省などから情報が提供されているほか、メドレーでもノロウイルス感染症として説明していますので、あわせてご覧ください。

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